このところ、朝の空気がぐっと秋らしくなってきました。
先日、桜街道と松の大木で有名な近所の公園の散歩コ
ースを歩いてると、
松の大木に、逆三角型をした、まだまだ青くて固い、これ
から開こうとしている松ぼっくりのつぼみ(?)が目に入り
ました。
さすが大木の松ぼっくり。
デカくてかなり存在感があります。
目の前にこんなふうにどーんと現れたということは、
これはもう、おひとつどうぞっていう意味だな、と、
ひとつ拝借。(笑)
枝にがっつりくっついていたので、簡単にはとれませんで
したが、いかにも薬効の詰まっていそうな青くて固い松ぼっ
くりをひとつ、持ち帰ってみたのでした。
ヤニがついているのでややベタベタ感がある松ぼっくりの
匂いを嗅いでみると、一瞬ローズマリーとほとんど区別が
つかないような匂い。
(まあ、そりゃそうです、親戚ですし)

ローズマリーは、胃腸を整え、頭脳を明晰にしたり集中力
をアップさせる効能がありますが、同じファミリーの松ぼっく
りにも、脳にとてもいい成分が含まれていても、なんの不思
議でもありません。
というか、松ぼっくりはそもそも、脳の器官、松果体の名前
の由来にもなっているほどです。
★参照ページ:
若さを司るミステリーな器官?松果体について
part.1
part.2
part.3
part.4
part.5
というわけで、賢くなるように、この青い松ぼっくりを切り刻み、
お湯をそそいでお茶にして飲んでみました。
味は、ローズマリーよりも飲みやすく、より漢方薬のお茶
という感じです。
(実際、松は漢方薬のひとつです)
で。
飲んだ感じは、食欲が抑制されて集中力が高まり、冷静さ
が養われるような感じでしょうか。(即効すぎ?)
これは、ついつい過食ぎみになっている時のダイエットにも
よさそうです。
ところで、いろいろ調べていてわかったのですが、
松ぼっくりはロシアでは有名な伝統的な自然薬ということ
が判明。
ロシア北部、コーカサス地方、シベリアの多くの地域は、
緑豊かな松林が有名で、地元の人たちは厳しい自然の恵みを
すべて利用し、健康を維持する方法を学び、そのひとつが松ぼ
っくりというわけで、
青い松ぼっくりをジャムにしたりハチミツ漬けにしたりして
食べているということです。
なかなかおいしそうですね。
ちなみに松の芽と精油は、気管支炎の治療薬として使われ、
松の葉はビタミンCの供給源として、松脂は皮膚軟膏として、
松ぼっくりは様々なベーシックレシピに使われているのだそ
うです。
ちなみに松ぼっくりは、野生の動物たち(リス、うさぎ、犬、
猿、ムササビ、 野鳥、カラスなどなど)も大好物。
野生の動物たちが賢いのは、松ぼっくりの薬効成分ゆえ
なのかもしれませんね。
私の住むエリアは、山と港に挟まれた、わりと緑が豊かな場所
なのですが、野生カラスのワイルドさと賢さには、いつも度肝を
抜かれます。あのけたたましい鳴き方も怖い。(笑)
ちなみにリスも、松ぼっくりを食べる動物として有名ですが、
リスはなんと。
松ぼっくりをエビフライに変えてしまうツワモノでした。
★★★
■松ぼっくりの免疫アップ効果
松ぼっくりの汁の薬効の歴史は、ギリシャの医師ペダニウス・
ディオスコリデスにまでさかのぼるといわれています。
彼はその著書『De Materia Medica』の中で、松ぼっくりの汁
の健康効果を初めて記録したといわれていますが、この本は
歴史上最も影響力のある漢方薬の本の一つとなっています。
松ぼっくりの汁には、免疫システムに有益な化学物質が多く
含まれ、多糖類、タンニン、リグニン、フェノール酸のすべて
が松ぼっくりの汁に含まれ、
細胞の免疫反応を刺激し、体内の抗体産生を増加させること
が臨床的に示されています。
若い松ぼっくりは、胃炎や潰瘍の痛みを和らげることで知られ
、解毒作用があり、抗酸化物質が豊富に含まれています。
まさに若返り薬ですね。
松ぼっくりに含まれるタンニンは、肝臓が毒素を老廃物に変換し、
血液をきれいにするのを助けるということです。
■松ぼっくりの肌への効能
肌のたるみの原因には、肌の弾力の低下、コラーゲンの数が
減る、皮下脂肪の蓄積などがありますが、
松ぼっくりの汁には、肌のたるみを改善する成分が含まれて
いることが確認されています。
(ローズマリーにも同じような効能があります)

■松ぼっくりを使った、おいしい「ロシアンなお薬」レシピ
1.「ジャム」
シベリアでは、松ぼっくりのジャムが観光客用のおみやげと
して売られているそうです。

実はこのジャム、作るのはそんなに難しくありません。
次の要領で簡単に作ることが出来ます。
◇青い松ぼっくり2kgをよく水洗いし、水に入れて30分ほど
煮込みます。
その後、涼しい場所に一晩起きます。
次に松ぼっくりを取り除いておき、煎じ液に砂糖を加えます
(1リットル当たり1キロの砂糖が必要)。
煎じ薬は、再び沸騰させるとトロみがつき、濃い深紅色にな
ります。
こうして出来上がったジャムに、あらかじめ煮込んでおいた
松ぼっくりを数個加えて混ぜ、さらに5分間煮込んだ後、
そのまま瓶に流し込みます(1リットルあたり約6−8個の松ぼ
っくりを入れる)

《松ぼっくりジャムの健康効果》
このジャムは、普通のジャムのように大量に食べることはで
きません。
抗ウイルス、抗微生物、抗寄生虫、強力な抗酸化剤で、
抗炎症作用があり、感染症や風邪に対する抵抗力を高め、
風邪の緩和だけでなく、免疫力を高める、
おいしい薬のようなものと思ってください。
もちろん、松ぼっくりも食べてしまえます。
一日にティースプーン一杯飲むだけで、大きな違いが生まれ
ます。
★他、松ぼっくりジャムのいろいろな使い道
✅ チーズの盛り合わせ(パルメザンチーズ、山羊のチーズ、
ブリー、リコッタとの相性が抜群です)
✅ バルサミコ酢(熟成された良質のもの)と同じように使えます。
✅ アイスクリームの上にかけて
✅ 蜂蜜の代わりに
✅ ホットケーキやパンケーキにかけて

2.「砂糖漬けにしてハチミツのようなシロップにする」
甘いものが好きな人には、リアルご馳走になるこの松ぼっくり
の砂糖漬け。
まず、滅菌容器を用意し、砂糖を少し入れ、青い松ぼっくりを
並べ、さらに砂糖で覆い、これを何層か繰り返します。
(1キロの松ぼっくりに約1.5キロの砂糖が必要になります。)
これを室温で3週間放置します。
分泌された汁と砂糖が結合し、シロップ状の液体になります。
3週間後、このシロップを乾燥したガラス瓶に注ぎ、冷蔵庫で
冷やします。
このハチミツのようなシロップを、紅茶などに加えて飲んでく
ださい。
3.「お茶にして飲む」
お茶にするには、とても若くて青い松ぼっくりが最適です。
採れたてフレッシュなもの、あるいは乾燥させたもの、どちら
でもOKです。
洗った松ぼっくりを包丁で切り、急須に入れて熱湯を注ぎ、
15分ほど蒸らしてから飲みます。

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というわけで、青くて固い松ぼっくりが旬な今。
これから寒くなっていく季節のための免疫強化剤として、
一家にひとつ、保存食として作っておいてはいかがでしょうか。
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