今回は、ここ10年ぐらい海外で注目を浴びている、
アフリカではるか遠い昔から丁寧に手作りされ、使われてきたという
「アメリカンブラックソープ」なる石けんについて、お伝えしたいと思います。
この石けんをはじめて見たとき、、
その質感が、
いかにも釜焚き製法(ホットプロセス)で作られた素朴な柔らかい石けんで、
コールドプロセス製法で作られる石けん独特の、見た目の滑らかさや
お洒落さがまるでないところが、
いかにも「昔ながらの」という印象でした。
そして実際に使ってみると。
市販の石けんとは明らかに一線を画する、スペシャルマイルドな使い
ごこち…。
なにやらいろんなものが入ってるので、ゴツゴツしてはいるのですが、
これ以上に肌に優しい石けんを他に見つけるのは、なかなか難しいと
思います。
泡がちゃんと立つのに、肌への負担がまるでない感じなのです。
★ブラックソープの歴史と起源
このスーパー肌にやさしいブラックソープは、ナイジェリアとベナン、トーゴ
のヨルバ族から生まれた石けんで、
ヨルバ族語の
Ose(石けん)とDudu(黒)を意味する、
Ose-Dudu(オゼドゥドゥ)と呼ばれています。
(「黒い石けん」そのまんまです)
ナイジェリア人やガーナ人は何世紀にもわたりこのブラックソープを、
入浴に、にきびや湿疹のような特定の肌の疾患に、また体臭の消臭に、
そしてシャンプーバーとして、あるいは妊娠中と妊娠後のホルモンの
変化による肌の乾燥や妊娠線の予防や治癒のために、伝統的に使っ
てきました。
また、純度が高く敏感肌にも問題なくやさしいので、赤ちゃんにも
使われてきました。
西アフリカの村の女性たちは、今でもこの石けんを手作りしています。
***
★苛性ソーダが一切使われていない(!?)、
正真正銘100%ナチュラルな石けん。一体どんな風に作られてるの?
石けんというのは基本、、
苛性アルカリ溶液(苛性ソーダ+水)とオイルを鹸化させ、後から残っ
たアルカリ分を一定の方法で十分にとばし(これを「キュアする」といい
ます)、肌や髪に使っても安全な状態にしたもの。
それがいわゆる「石けん」です。
ところが。このアフリカンブラックソープは、
なんと石けん製造に必要なこの「苛性ソーダ」さえ使われていません!
…正直、これには驚きました。
石けんなのに、苛性ソーダが使われていないとは、、、
一体どんな方法でこの泡立ちになるの??と。
私はまじめに驚きました。
そして、その製法を知れば、なるほど、この石けんが本当にはるか
遠い昔から、いうなれば、苛性ソーダという便利なものが存在さえ
しなかった時代から作られてきた、
原始的かつ元祖な、文字通り天然成分100%の石けんだというこ
とが納得できました…。
どおりでこんなにやさしい使い心地なわけです。
では、その製法とは、いったいどんなものなのでしょうか。
苛性ソーダを使わないのに、こんな泡ブクブク石けんは、どのよ
うに作られているのでしょうか。
その伝統的な製造方法を見てみましょう。
★ブラックソープは、他にはない面白い材料からできていた!
この秘密のレシピの成分は?
アフリカのブラックソープは、とても面白い成分で作られています。
この伝説の石けんを作るために集められる材料は;
・乾燥したプランテーン(料理用バナナ)の皮
・水
・カカオのさや、
・ヤシ油、
・シアの樹皮


です。
伝統的な典型的なブラックソープは、これらの材料を混ぜ混ぜ
したものです。
地域によって若干レシピは異なることがあり、ヤシの葉の灰
やココナッツオイル、シアバター、ハチミツなどを組み合わせる
こともあるようです。
★製造プロセス
伝統的なアフリカのブラックソープを作るプロセスには、次のよう
にいくつかの段階をふみます。
*まずは集めた材料の植物(プランテーンの皮、ヤシの葉、カカオ
のさや、シアの樹皮など)を天日乾燥させます。
*乾燥させた植物を土釜で焼いて灰にします。(この灰じたい、傷
の治療薬として使われます)
その後水を加えてろ過します。
*その翌日、この灰汁にシアバターなどのさまざまな植物性油脂と
水を加えます。
*この作業が終わったら、生地が固まるまで加熱します。
*そしてさらに、少なくとも24時間、手で混ぜ混ぜ攪拌します。
*こうしているうちに半固形石けん成分が鍋の上部に浮いてきます。
これをすくい上げ、さらに二週間「キュア」(あるいは熟成)します。
~ブラックソープはこうして作られる!~
https://www.youtube.com/watch?v=kLUBJ0V_N1M
***
★ブラックソープの「いいところ」と「ちょっとした注意点」
ブラックソープには、薬効と美容の面の両方のメリットがあります。
ちょっとした湿疹から乾癬まで、皮膚の炎症を緩和する働きがあります。
シアバターと他オイルが配合されているので、肌に潤いを与え、かゆ
みを抑えます。
また、乾燥肌、油っぽい肌、敏感肌、普通肌など、肌タイプを問わず、
肌の黒ずみ、シミ予防&治癒対策にも最適です。
いくぶんゴツゴツした質感のため、肌のマイルドなボディスクラブとし
ても使えて、メイク落としにも使えます。

また、プランテーンの皮のおかげで、ビタミンAとEが多く含まれ、
鉄分も多く、シアバターもたっぷり入っているので紫外線対策にも
おすすめです。
(⇒参照ページ:
「女性にとってのゴールド(財産)」と呼ばれた植物性油脂)
さらには体臭が気になる方にも○です。
…とまあ、いいことずくしのこの石けんですが、
実は2つだけ、、注意事項があります。
ブラックソープは、ザラザラした灰などや繊維が混じっていること
があるので、肌に直接あててゴシゴシすると、肌をガリっとやって
しまうことがあります。なので、手やネットで一旦泡立ててからお
使いください。
(表面はこんな感じ)
それともうひとつは、この石けんには、材料に「カカオのさや」が
使われていることからも想像できるように、結構カフェインが含まれ
ています。(これゆえに薬効が高いわけなのですが)

カフェイン敏感症の人に限っては、肌からカフェインが吸収されるこ
とがあるので、石けんを肌の表面につけたまま長時間放置するの
はあまりおすすめしません。(ササっと洗い流しましょう)
特にカフェインへの敏感症がない方、むしろカフェイン好きな方は、
問題ありません。

それとこの石けんは、手作り石けん特有の「マイルド成分」かつ
「すぐに水分を吸収する成分」、グリセリンがたっぷりと含まれてい
ます。
なので、使った後は毎回、湿気の少ない乾燥した場所において
保管するのがおすすめです。
★最後に
~偽ものにご注意!本物を見分けるために~
アフリカンブラックソープは、何世紀も前から親しまれてきた伝統
石けんです。
が、この石けんはこの10年で、薬効が特に注目を浴び、
海外ではとても有名になりつつあります。
ここで問題点がでてきます。
何かが「有名」あるいは「主流」になると、需要が増え、
その結果として残念ながら、品質が下がることが多いのです。
(これは、インドの元祖アーユルヴェーダ石けん「チャンドリカ」に
も同じことが起こりました)
(外国人が目をつけ、急に売れはじめたとたん質が落ちてしまったことで有名なチャンドリカソープ。個人的には今でもそんなに悪くないと思うのですが…)
注目を浴びてしまうとまがいものが流通するのは、世の常です。
ありがちなまがいものは、「化粧品会社」がアフリカからブラックソ
ープを仕入れ、独自の材料(ラベンダーオイル、アロエヴェラジェル
などの天然成分から合成成分まで、さまざまです)を加え、
販売されていることがあります。
これにご注意ください。
ちなみに純粋な伝統アフリカンブラックソープは、見た目からして
普通の固形石けんのようには見えません。
色はライトブラウンかダークブラウンで、形状は滑らかだったり
均等だったりすることは、まずありません。
質感的には、柔らかく、多少ボソボソしています。
また、天然のブラックソープは、合成香料を使用していないので、
おしゃれな匂いはなく、むしろ土臭いような、灰のような匂いが
します。そんなアフリカ製の石けんは、純粋度100%です。

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